酸逆流(胃食道逆流症)の治療法とは?
酸逆流(胃食道逆流症、GERD)は、食道下部の括約筋(LES)が正常に機能せず、胃酸や消化液が食道へ逆流する状態です。逆流により胸焼けや口の奥に苦味を感じることがあります。
特徴
- 酸逆流が週に2回以上、6か月以上続くと、胃食道逆流症(GERD)と診断されます。年齢とともにLESの機能が低下しやすく、特に50歳以上で多く見られます。主な症状は胸焼けですが、胸焼けがなくても乾いた咳、喘息様症状、嚥下困難などが現れることがあります。
生活習慣の改善
- 国立消化器病センターが推奨する第一の対策は生活習慣の見直しです。喫煙はやめ、炭酸飲料、カフェイン、トマトジュース、チョコレート、柑橘類、にんにく、玉ねぎ、ミント、脂っこい揚げ物など、症状を悪化させる食品・飲料を避けましょう。体重が過剰な場合は減量し、少量頻回の食事を心がけ、食後3時間は横にならないようにします。就寝時は頭部を高くし、ゆったりした服装を選ぶことも有効です。
薬物療法
- 軽度の酸逆流には、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムを主成分とした市販の制酸剤が使用されます。マグネシウムは下痢、アルミニウム・カルシウムは便秘を引き起こすことがあるため、これらを組み合わせた製剤が一般的です。制酸剤は胃酸を中和することで症状を緩和します。その他の薬として、胃内容物を覆う発泡剤、H2ブロッカー(約50%の患者で効果)、プロトンポンプ阻害薬(PPI)はH2ブロッカーより効果が高く、GERD患者の食道粘膜を修復します。プロキネティクスはLESを強化し胃排出を促進しますが副作用が多く、通常は他の薬と併用して使用します。
手術療法
- 薬物療法や生活習慣改善でも症状が改善しない場合、手術が検討されます。手術は薬の長期使用をやめる選択肢にもなります。最も一般的なのは「噴門形成術(ファンドオピレーション)」で、胃の上部をLESに巻き付けて括約筋を強化します。安全性が高く、術後2〜3週間で仕事に復帰できることが多いです。内視鏡的手術ではLESに折りたたみや焼灼を行い瘢痕を作りますが、長期的な効果はまだ十分に検証されていません。
留意点
- GERDを確実に診断できる唯一の検査法は存在しません。また、食道下部への酸曝露が必ず粘膜障害を引き起こすという証拠も不十分です。胸焼けがなくても酸逆流は起こり得ますが、胸焼けは最も一般的な症状です。制酸剤を2週間以上使用している場合は、症状が重症である可能性があり、別の治療法が必要です。
