横紋筋溶解症の歴史

古代の記録

学者の中には、この疾患が聖書の時代まで遡ると指摘する者がいます(参考文献1・2)。旧約聖書の民数記11章31~33節では、荒野での旅の途中でユダヤ人がウズラを与えられた後、疫病が発生したと記されています。ウズラがヘムロックを食べると、含まれる毒素が大量摂取した人に中毒症状を起こすことがあります。この現象は「コトゥルニズム(coturnism)」とも呼ばれ、横紋筋溶解症と類似した症例と考えられています。

20世紀の先駆的研究

20世紀初頭、地震や1941年のブリッツ(空襲)で負傷した患者を診察した医師たちが、横紋筋溶解症の理解を深めました。尿中にミオグロビンが検出されたことから、ミオグロビンが腎不全の原因であると仮定されました。1944年、E.バイウォーターズ医師は実験によりミオグロビンが腎障害を引き起こすことを証明し、疾患メカニズムの解明に大きく貢献しました。

原因

横紋筋溶解症は、筋肉が強く圧迫される鈍的外傷、血流障害、雷撃、過度な運動などで引き起こされます。その他、食中毒、薬物乱用、特定の感染症なども報告されています。

症状

初期症状は痛み、脱力、腫脹です。圧迫傷害では筋細胞からミオグロビンやその他の成分が血流に漏れ、吐き気、嘔吐、意識障害などが現れます。重症例では昏睡や心不整脈が起こり、腎障害が進むと濃い色の尿が出ます。血清クレアチンキナーゼやミオグロビンの上昇は診断の重要な手掛かりです。

治療法

治療の基本は電解質バランスと体液管理です。十分な輸液(生理食塩水)で腎機能を保護し、必要に応じて透析を行います。また、血清電解質濃度を常時モニタリングし、異常があれば速やかに補正します。

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