甘草(リコリス)の健康効果と注意点
エジプトのツタンカーメン王は、3000年前に来世のための甘草を随身させて埋葬されました。現在、甘草は世界中で利用されています。近代の研究はその有益な効果を示唆しており、米国がん協会はさらなる臨床研究を求めています。甘草は治癒効果と同時に副作用も持つため、使用には注意が必要です。
健康効果
甘草根は、湿疹、消化性潰瘍、炎症性疾患、閉経期症状、エイズ、口唇ヘルペス、肝疾患、皮膚感染症、呼吸器疾患、慢性疲労症候群、がんなどに有効とされるハーブサプリです。甘草に含まれるフラボノイドは、総コレステロール、LDL、トリグリセリドを低下させ、コレステロール改善に寄与すると報告されています(米国がん協会)。グリシル化除去甘草(DGL)に関する研究では、前立腺保護物質であるプロスタグランジンの分解を抑制し、胃潰瘍や胸焼けの治癒を助ける可能性が示唆されています。また、B型・C型肝炎患者に対する予備的研究で、甘草由来のグリチルリジンが有益な効果を示す可能性があります。
がんに対する可能性
甘草の成分の一部はがん予防や治療に有望であると報告されていますが、ヒトでの臨床試験はまだ不足しています(米国がん協会)。甘草に含まれる複数の物質は腫瘍の増殖抑制、DNA変異の防止、がん細胞の死滅を促す可能性があります。研究では、甘草根の化学成分が乳がん、前立腺がん、白血病細胞の増殖を阻止したとされています。グリチルリジンとグリチルリジン酸は、マウスモデルで乳がん、結腸がん、皮膚がん、肝臓がん、子宮がんの発生を低減しました。日本の研究では、慢性C型肝炎患者がグリチルリジンを投与されると肝がんリスクが低下したと報告されていますが、さらなる臨床検証が必要です。
副作用と注意点
米国がん協会は、甘草全草の摂取が体液とカリウムのバランスを崩し、心不整脈、低カリウム血症、筋力低下、麻痺を引き起こす可能性があると警告しています。定期的に甘草サプリを摂取すると、高血圧、倦怠感、筋力低下、頭痛、むくみが生じることが報告されています。過剰摂取では心不全や麻痺に至るケースもあります。また、男性のテストステロン低下や女性のエストロゲン変動にも影響する可能性があります。したがって、高血圧、心拍不整、腎臓・肝臓・心血管系の疾患を持つ方、妊娠中・授乳中の女性は甘草の使用を控えるべきです。
歴史
中国では「甘草(がんぞう)」として知られ、古代ギリシャ、ローマ、エジプトでも利用されました。紀元前2737年の中国古典『神農本草経』にも記載があります。甘草は多くの伝統的な漢方薬の成分で、特に前立腺がん治療薬として知られています(米国がん協会)。また、軽い下剤や心拍リズム調整にも用いられ、他の薬草と併用することで吸収を高める効果があります。
甘草の起源と利用法
甘草(学名:Glycyrrhiza)は、アジア、地中海沿岸、スペインに自生する木本性多年草です。根部から抽出したエキスは、樹皮を剥き乾燥させたもので、ローマ軍団が渇きを癒す飲料として、料理の香辛料、リキュールやビールの風味付け、そしてハーブ療法に利用されてきました。名前はギリシャ語で「甘い根」を意味します。甘草に含まれるグリチルリジンは、砂糖の約50倍の甘さを持ち、キャンディやお茶に使用されます。近年の一部の製品はアニスで代用され、本来の甘草根の健康効果は失われています。グリチルリジンはガム、クッキー、飲料、咳止めシロップ、タバコ製品にも添加されています。
