ERISA先取特権の取り扱いと訴訟
他者の過失による事故で負傷した場合、相手側の保険会社から金銭的な補償を受けることが一般的です。その間に、雇用主が提供する健康保険(ERISAプラン)で治療費が支払われていると、保険プランは和解金から費用の返還を求めることができます。ERISA(Employee Retirement Income Security Act)は、米国連邦法であり、プラン加入者に重要な権利を付与しています。
ERISAの先取特権(リーン)
- ERISA対象の健康保険には「第三者行為」条項が設けられていることが多く、第三者の過失で負傷し、金銭的判決を得た場合、保険プランは医療費分を返還させる権利を有します。保険プランはこの権利に基づき、和解金に対してリーン(法的請求権)を設定できます。返還が行われない場合、ERISA第502(a)(3)条項に基づき訴訟を提起できるため、経験豊富なERISA弁護士の助言が不可欠です。
プラン条項の要件
- リーンが法的に有効となるためには、プラン規約に「事故に起因する金銭的損害から医療費を返還する」旨の明示的な文言が必要です。多くのプランはこの文言が不十分で、実際に和解金からの返還請求が認められないケースがあります。訴訟が提起された場合、規約に適切な文言がないと裁判所は請求を却下することがあります。
全額回復(Make-Whole)原則
- 事故の賠償金が負傷による実費医療費を下回る場合、保険プランに返還を求められない、あるいは部分的な返還にとどまることがあります。多くの州では「全額回復」原則が州法として取り入れられており、被保険者が完全に補償されない限り、保険プランは全額回収できません。ただし、プラン規約がこの原則を明示的に排除している場合、保険プランは全額回収の権利を保持します。
衡平的救済
- リーンの執行に際し、保険プランは裁判所に衡平的救済(equitable remedy)を求めます。裁判所は、返還が被保険者の全額補償を阻害する場合や、請求が遅延した、プランが不合理である、返還が和解金を過度に減少させると判断した場合、請求を却下します。衡平的救済は、被保険者が公平に補償を受けられるようにするための制度です。
