健康費用払い戻し口座(HRA)とは?仕組みと活用ポイント
従業員の医療費負担が増える中、企業はコスト削減と健康増進を目的にさまざまな制度を導入しています。その一つが「健康費用払い戻し口座(Health Reimbursement Account、略称 HRA)」です。HRA は雇用主が資金を拠出し、従業員が医療費を申請して払い戻しを受けることができる制度です。以下では、HRA の資金源・税制上のメリット・支出対象・残高の取扱い・対象者について解説します。
資金提供者
HRA の資金は全額雇用主が拠出します。従業員は拠出義務がなく、雇用主が自由に金額を設定できます。従業員が自ら貯蓄したい場合は、フレキシブル・スペンド・アカウント(FSA)など別の制度を利用できます。FSA は HRA と併用可能です。
税制上のメリット
HRA に拠出された金額は従業員の課税所得に含まれません。したがって、連邦所得税・州所得税・FICA(社会保障・医療保険)税が免除されます。従業員は実際に医療費に使用した分だけ非課税で受け取ることができます。
支出対象(適格医療費)
HRA からの払い戻しは、以下のような適格医療費に限られます。
- 処方箋のない医薬品(OTC)
- 健康保険料
- 長期介護保険料
- 保険でカバーされない医療・歯科費用
なお、払い戻し金額は確定申告書の Schedule A(項目別控除)に計上できません。また、HRA 加入前に発生した費用は対象外です。
残高の取扱い
従業員は未使用の残高を翌年へ繰り越すことができます(繰り越しは雇用主が設定した条件に依存)。ただし、退職や HRA からの除外を選択した場合、残高は失効し、雇用主が返金することはできません(IRS の規定による)。
対象者(適格受給者)
HRA の払い戻しは、次の人が対象です。
- 従業員本人
- 配偶者
- 扶養家族(子ども・親など)
- HRA 加入期間中に医療費を負担した元従業員
ただし、以下の条件に該当する扶養家族は対象外となります。
- 共同申告を行っている
- 年間総所得が 3,650 米ドル以上
- 他の納税者の扶養家族として認定されている
また、2010 年 3 月以降は 27 歳未満の成人子どもも対象に含まれます。
