飛行機恐怖症の克服法:没入療法・認知行動療法・薬物治療
飛行機に乗ることに不安や恐怖を感じる人は少なくありません。1980 年のボーイング社の調査によると、米国人の約30%が飛行機恐怖症だとされています。鎮静剤を服用して不安を抑える方法もありますが、長時間の座位による血栓リスクが高まるなど、逆効果になることもあります。世界保健機関(WHO)の2007年の報告では、4時間以上座り続けると危険な血栓ができやすくなると指摘されています。鎮静剤は効果が7時間続くこともあり、注意が必要です。
没入療法
没入療法は、主に強迫性障害の治療で用いられる手法ですが、飛行機恐怖症にも応用できます。治療の目的は、恐怖の対象である飛行そのものに段階的に慣れさせることです。最初にカウンセラーと恐怖の根源を分析・議論し、数回のセッションを経て実際に飛行機に搭乗します。搭乗中は、患者に不安度を自己評価させ、事前に学んだリラクゼーション法を実践させることで、徐々に不安を管理可能なレベルへと低減させます。
事実を知る
- 飛行機恐怖症の人でも、実際に飛行機に乗る人はいます。一方で、飛行機を極端に避けるために数千マイルもの距離を車で移動する人もいます。
- WHO の調査では、6%の人が飛行機は安全でないと考えていることが分かっています。
- 2003 年の『American Scientist』によると、ニューヨーク‑ロサンゼルス間の飛行は自動車での移動よりも261倍安全です。この統計には 9/11 のような意図的な事故も含まれています。
- ミシガン大学交通研究所(1990 年)の研究では、運転歴の良い低リスクドライバーでも、ノンストップのフライトは約303マイルの田舎道走行より安全であることが示されています。乗継ぎがあるフライトでも、同様に車での長距離移動よりは安全性が高いと結論付けられました。
薬物療法とカウンセリング
軽度の飛行機恐怖症の場合、飛行は嫌々ながらも実施します。医師や精神科医は、抗不安薬(例:クロナゼパム、アティバン)を処方することがあります。これらはベンゾジアゼピン系で、パニック障害の治療に用いられます。
一方、認知行動療法(CBT)は、思考が感情や行動を引き起こすという前提に基づき、恐怖の根本的な認知パターンを変えることを目指します。カウンセラーと共に飛行機に対する不安を具体的に洗い出し、呼吸法やイメージトレーニングなどの対処技術を習得することで、実際の搭乗時に落ち着いて対処できるようになります。
