警察官のメンタルヘルス危機介入トレーニング
警察官のメンタルヘルス危機介入トレーニング
2007年のFBI統計(「Time」誌掲載)によると、精神障害を抱える受刑者は125万人に上ります。警察が対応する「精神疾患者の任意入院」や「感情不安定者」の呼び出しは、最も予測困難な案件の一つです。病状により非合理的・不安定・協力的でないことが多く、対応は極めて難しいです。
従来の訓練の課題
米国の多くの警察官は、精神的に不安定な人々との繊細で感情的な状況に対処する訓練を受けていません。従来の訓練や手法は、危機状態にある人の緊張をさらに高める恐れがあります(全米精神疾患協会)。警察は現場を迅速に掌握するよう指導されますが、叫び声や命令は偏執的・防御的な感情を増幅させます。精神障害者は目を合わせないことがあり、警官はそれを疑わしい行動と誤解しがちです。
危機介入チーム(CIT)の誕生
メンフィス警察は、1987年に精神疾患者を射殺した事件を契機に、精神危機への対応チームを創設しました。1988年に導入されたこの「拘禁回避プログラム」は、精神・脳障害者とのやり取りを改善することを目的としています。導入以降、拘禁される精神障害者は減少し、警官と精神障害者双方の負傷件数も減少、任意入院の件数も減少しました。
CIT訓練の内容
CITプログラムでは、警官は40時間にわたる集中訓練を受けます。訓練には精神保健擁護者、精神科医、家族、当事者が参加し、精神疾患の基礎知識、症状、地域の精神保健システム、エスカレーション防止技術を学びます。また、危機状態の人が聞く・見る可能性のある情報を再現したバーチャルシミュレーションや、ロールプレイを通じて実践的な対応力を養います。
危機のエスカレーション防止テクニック
- 声を低く抑える
- ゆっくりと近づく
- 争いを避ける
- 同じフレーズを繰り返す
- 拳銃やバッジではなく手のひらを見せる
- 制服ではなく私服で接近する
訓練の全国的拡大
現在、米国内の50以上の地域でCITが導入されており、2009年のNPR報道によれば、精神保健意識向上訓練を実施している警察署は約200〜300件とされています。
直面する課題
警官が対応する多くの精神障害者は、薬の服用を中止したり、治療計画を守らなかったり、精神科受診を欠席したりしています。その結果、現実認識が崩れやすくなります。加えて、長期的な住宅ケアや地域資源が不足していることも問題です。
CITの将来性
米国司法支援局は、CITが「法執行機関と精神保健専門家の最も急速に拡大し、期待できるパートナーシップ」と評価し、全米で400以上のCITプログラムが稼働していると見積もっています。
