うつ病に対するナラティブ・エクスポージャー療法
治療法の概要
ナラティブ・エクスポージャー療法(NET)は、過去に強いトラウマを経験した人を対象とした比較的新しい心理療法です。患者は最も苦痛だった出来事について繰り返し語り、当時の感情を再体験することで、感情の慣れ(ハビチュエーション)を促します。
治療の進め方
NETは短期療法で、1週間に数回、計4〜6週間程度のセッションで構成されます。治療開始時には、患者は自らの人生の中で最も痛みを伴う出来事を整理し、物語(ナラティブ)を作成します。その後、最も強い情動反応を引き起こす出来事に焦点を当てて語り続けます。これにより、トラウマ記憶に対する情動反応が徐々に減衰し、PTSD症状が緩和されます。PTSDが抑制された後は、認知行動療法など他の治療と組み合わせやすくなります。
使用対象と効果
NETは戦争や拷問など極度のトラウマを経験した患者に特に適しています。2009年に『Psychotherapy and Psychosomatics』に掲載された研究では、ルワンダ虐殺の孤児でPTSDと診断された被験者に対し、NETとグループでの喪失の儀式を組み合わせた結果、症状の改善が確認されました。また、2007年の『Behaviour Research and Therapy』の研究でも、政治的投獄の被害者に対して同様の有効性が報告されています。
