メンタルヘルスケアとは何か?
身体の怪我や病気を治す医療と同様に、心の健康を守り、回復させることを目的としたのがメンタルヘルスケアです。本稿では、メンタルヘルスケアの歴史・専門職・施設・診断基準・緊急措置について概観します。
歴史
メンタルヘルスケアの起源は古代エジプトに遡ります。紀元前2900年頃、エジプト人は患者が訴える症状(当時は「夢」や「現象」などと呼ばれた)に応じてハーブを用いた治療を行い、専門の施設で薬草を配布していました。
中世ペルシアの医学者、ムハンマド・イブン・ザカリヤ・ラジ(Razi)は、精神的な気質を分類し、神経症やうつ病といった疾患に対する治療法を体系化した最初期の精神医学者とされています。
専門職
メンタルヘルスケアに関わる専門職は多様です。
- 心理療法士(修士課程修了):個人・カップル・グループカウンセリングを実施。
- ソーシャルワーカー:ストレス管理や家族関係など、社会的課題に対する相談支援。
- 臨床心理士:統合失調症や双極性障害など深刻な疾患の評価・治療を行い、必要に応じて医師への薬剤処方の提案を行う。
- 精神科医(精神科医師):薬剤の処方権を有し、重度の精神障害患者への診療・カウンセリングを担当。
施設
現代のメンタルヘルスケアでは、患者の安全確保や治療の継続性を支える施設が重要です。精神科病院は長期入院が必要な重症患者を対象とし、薬剤管理やリハビリテーションを行います。米国で最も古い施設の一例として、コネチカット州ハートフォード病院やバーモント州ブレトルボロ・リトリートが挙げられます。
DSM‑IV
精神障害の診断・統計マニュアル(DSM‑IV)は、臨床医が患者の症状を体系的に評価する際の主要な指針です。DSM‑IV は 5 つの軸(Axis)で障害を分類し、うつ病や不安障害、恐怖症は主に Axis Ⅰ に位置付けられます。ただし、DSM‑IV は診断の標準的なツールであるものの、最終的な診断は十分な研修を受けた専門家が行うべきです。
5150(カリフォルニア州の緊急措置)
カリフォルニア州では、精神状態が危険と判断された場合に「5150」条項に基づき、最大 72 時間の強制入院が可能です。警察官や州指定の医療従事者が申し立てを行い、入院後は精神科医が評価します。必要に応じて、さらに 14 日間の延長入院が認められます。
