闘争・逃走反応に関わる脳の部位

恐怖が生じると、脳内で連鎖的な反応が起こり、心拍数の上昇やアドレナリン分泌、呼吸の速さなど、闘争・逃走(fight‑or‑flight)反応が自動的に引き起こされます。この反応は、刺激が脳に届く経路に応じて「低道(low road)」と「高道(high road)」の2つのルートで進行します。

視床(Thalamus)

視床は皮膚、口、目、鼻、耳からの感覚情報を受け取り、どの情報をどの脳領域へ送るかを決定します。危険性が疑われる場合、同時に扁桃体と感覚皮質へ警告を送ります。闘争・逃走反応の最初のステップとして、危険の可能性を脳全体に提示する役割を担います。

感覚皮質(Sensory Cortex)

感覚皮質は視床から送られた情報を詳細に分析し、視覚的・身体的な危険シグナルを認識します。その後、情報を海馬へ渡して文脈の確認を行い、必要に応じて扁桃体に危険信号を送ります。

扁桃体(Amygdala)

扁桃体は過去の恐怖体験や記憶に基づき、受け取った刺激が脅威かどうかを判断します。危険と判断された場合、即座に視床下部へシグナルを送り、闘争・逃走反応を開始させます。防御的・攻撃的行動の初期制御センターです。

海馬(Hippocampus)

海馬は意識的な記憶の保存・想起を行い、過去に同様の刺激を経験したかどうかを評価します。文脈情報を提供し、扁桃体が危険と認識すべきかを補助します。

視床下部(Hypothalamus)

視床下部は闘争・逃走反応の最終指令塔として、交感神経系と副腎皮質系を同時に活性化します。その結果、血圧上昇、瞳孔拡大、皮膚の鳥肌、筋肉の緊張、アドレナリンの放出など、身体が迅速に行動できる状態へと変化します。

以上の脳部位が協調して働くことで、危機的状況に対する迅速かつ適切な生存反応が実現します。

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