部分断裂した前十字靭帯(ACL)の治療法は?

前十字靭帯(ACL)は大腿骨と脛骨をつなぐ膝関節の4本の靭帯のうちの1本で、最も損傷しやすい靭帯です。米国整形外科医会(AAOS)によると、年間約20万人がACL損傷を起こし、特にサッカー、バスケットボール、フットボール、スキーなどのスポーツに参加する人に多く見られます。治療は、損傷が部分的か完全かよりも、患者さんの日常生活や活動レベルに応じて決定されます。

理学療法

軽度の不安定感しかなく、低負荷のスポーツや日常生活で支障がない場合は、理学療法での治療が選択肢となります。特に、激しいスポーツを控えられる方や、座りがちな生活を送っている方、手作業が少ない職業の方に適しています。また、成長板が開いている子供にも理学療法が推奨されます。併用してヒンジ式膝サポーターを装着すると、安定性が向上します。

手術

手術では、腱移植によってACLを再建します。使用される腱は、膝蓋腱、ハムストリング腱、同種腱(パトラル腱など)、半腱様筋、薄筋、アキレス腱、後脛骨腱などがあります。縫合だけの修復は失敗しやすいため、腱移植が標準です。AAOSは、長期的な成功率が82~95%と報告しています。

手術の合併症

手術に伴うリスクとして、C型肝炎やHIVなどのウイルス感染、脚や足の麻痺・筋力低下、細菌感染、膝窩動脈損傷による出血、血栓、関節可動域の低下や硬直、膝の不安定性、膝蓋腱断裂、膝蓋骨の痛み、成長期の子供では成長板損傷などが挙げられます。

リハビリテーション

再建手術を受けた場合、術後は理学療法とリハビリが必須です。手術後10日から2週間は、膝を完全に伸展できるようにすることが重点的に行われます。術後ブレースや膝を動かす装置を使用し、必要に応じて松葉杖も使用します。完全なリハビリテーションには、通常4~6か月を要します。

治療選択のポイント

スポーツや激しい身体労働を行う方、特に方向転換や急停止が頻繁に必要な職業の場合は、手術が強く推奨されます。AAOSは、活動レベルに応じて手術の必要性を判断すべきとしています。ACL損傷に伴う不安定感があると、二次的な怪我のリスクが高まるため手術が勧められます。また、同時に半月板損傷がある場合も手術が適応となります。一方、活動量が低く、スポーツ継続の意欲がない場合は、理学療法とリハビリでの非手術的治療が最適です。

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