子どもの重度胃酸逆流
子どもの重度胃酸逆流は、胃の酸や内容物が食道へ逆流する状態です。胸やけ、げっぷ、嘔吐、食欲不振、咳、体重減少などの症状が見られます。米国メイヨークリニックによれば、約1700万人が胃酸逆流を抱えているとされています。乳児の場合は多くが18か月までに改善しますが、年長の子どもは生涯にわたって症状が続くことがあります。治療は胃酸を中和・抑制し、合併症を防ぐことが中心です。
原因
乳児では、胃腸の発達が未熟で食道下部括約筋(LES)の調整が不十分なことが主な原因です。年長児は成人と同様に、LESの機能低下が主因となります。LESは食道と胃の間にある一方向バルブのような筋肉で、正常な場合は胃内容物が食道へ逆流しないよう閉じますが、筋肉が弱い・弛緩すると逆流が起こります。原因は明確でないことが多く、前屈み姿勢や締め付けの強い衣服、腹部への圧迫、過食などが症状を悪化させます。
症状
子どもの重度胃酸逆流の症状は大人とは異なることがあります。乳児や幼児では胸やけ、過剰なげっぷ、腹痛(疝痛)として現れ、疝痙攣(コリック)と見間違えられることもあります。頻繁な嘔吐、咳、逆流も一般的です。症状が強い場合は胸痛、食事拒否、体重減少、口臭、むせ、声がかすれる、夜間の頻繁な覚醒、繰り返す喉の痛み、喘鳴、耳や副鼻腔の感染症が併発することがあります。
診断
多くの場合、症状と身体診察だけで診断が下されますが、必要に応じて追加検査が行われます。バリウム造影、上部消化管内視鏡、pHモニタリング、胃排出検査などで食道の狭窄や炎症を確認します。また、血液・尿検査で成長不良や嘔吐の他の原因を除外します。
治療
治療は生活習慣の改善、薬物療法、食事指導を組み合わせます。就寝時にベッドやベビーベッドの頭部を30度程度上げる、ミルクに米粉を混ぜて濃くする、授乳後に頻繁にげっぷをさせる、少量頻回の食事にするなどが効果的です。炭酸飲料、辛い食べ物、チョコレート、柑橘系は控えましょう。市販の制酸剤(マロックス、ミランタ)や処方薬(ザンタック、ペプシッド)で胃酸を中和・抑制できます。プロトンポンプ阻害薬やレグラン(メトクロプラミド)も使用されます。重症例で外科的治療が必要な場合、ニッセン噴門形成術(Nissen fundoplication)が有効です。
注意点・合併症
重度胃酸逆流は特に乳児・幼児で深刻な合併症を引き起こす可能性があります。頻繁な逆流は食道炎(食道粘膜の炎症)を招き、摂取障害や出血、瘢痕形成により嚥下障害が起こります。栄養不良や成長障害、胃内容物の誤嚥による呼吸器感染症もリスクです。また、酸が歯のエナメル質を侵食し、虫歯や歯の変色といった歯科問題が生じます。
