シアン化物が体内に及ぼす影響

全身への影響

シアン化物が皮膚、呼吸器、消化管を通じて体内に入ると、まずシトクロム酸化酵素(シトクロムc酸化酵素)を阻害します。この酵素は酸素を細胞へ供給するために不可欠で、活性が失われると細胞は酸素欠乏状態となり、数分以内に致命的です。

血液への影響

血液検査で特有に認められるのは血中シアン化物濃度の上昇です。静脈血中の酸素分圧が動脈血より高くなることもあり、赤血球が酸素を取り込めていないことを示します。また、血液は酸性(pH低下)を示します。

皮膚・粘膜の症状

中毒初期は手足の湿り気(冷汗)とともに、顔や首が鮮やかなチェリーレッドに変色します。進行すると唇・顔・四肢が青白く(シアノーゼ)なりますが、神経ガスほど顕著ではありません。口腔・鼻腔は乾燥し、分泌は少ないです。瞳孔は正常またはやや散大し、眼の血管は赤く見えます。

臓器への影響

酸素欠乏により代謝が嫌気的に転換し、組織内に乳酸が大量に蓄積します。その結果、血液は代謝性アシドーシス(pH低下)と高アニオンギャップ(AG)を示します。AGは血中の陰イオン(炭酸水素イオン・塩化物イオン)と陽イオン(ナトリウム・カリウム)との差で算出され、炭酸水素イオンが極端に低いことが特徴です。

まとめ

シアン化物は酵素阻害により急速な酸素供給障害を引き起こし、血液、皮膚、臓器に特有の変化をもたらします。迅速な診断と治療が不可欠です。

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