回旋腱板損傷の理学療法完全ガイド

回旋腱板(ローテーターカフ)は、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの筋肉で構成され、肩関節の安定と可動に重要な役割を果たします。損傷は上半身で最も頻繁に起こる怪我のひとつで、適切な診断とリハビリが回復の鍵となります。本稿では、医師の診断を受けたうえで実施できる主な理学療法エクササイズと、手術後のリハビリプランをわかりやすく解説します。

手術後の理学療法

重度の断裂では手術が最適な治療法ですが、術後の機能回復には最低でも6か月を要します。手術直後からの理学療法は治癒を促進し、筋力と可動域の回復を支えます。術前のリハビリは症状や損傷の程度により判断され、場合によっては完全固定が必要です。

抵抗バンドを用いたエクササイズ

  1. 外旋(外側への回転)

    抵抗バンドを安定した物体に固定し、遠く側の手でバンドを握ります。肘を90度に曲げ、タオルで支えて安定させます。手を体の中心に向けて引き、息を吸って準備。息を吐きながら前腕を外側に回転させ、肘が腰から離れないようにします。

  2. 内旋(内側への回転)

    バンドを近い側の手で握り、前腕を外側に向けた状態から開始します。息を吸って準備し、息を吐きながら前腕を体の中心に引き寄せます。

横向き外転(Side‑Lying Abduction)

  1. 軽量のダンベルまたはウェイトを手に持ち、横向きに寝転びます。肘の下にタオルを敷き、肘を体側に固定。手をおへそ付近に置き、息を吸って準備。息を吐きながら前腕を回転させ、拳が天井を向くまで持ち上げ、息を吸いながら戻します。

うつ伏せエクササイズ(Prone Exercises)

  1. テーブルやベッドにうつ伏せになり、肘を曲げて指先を耳側に向けます。息を吸って準備し、息を吐きながら肩甲骨を寄せて肘と前腕を持ち上げます。息を吸って元に戻します。

  2. 腕を体側に伸ばしたままうつ伏せで、手のひらを天井に向けます。息を吸って準備し、息を吐きながら両手と腕を持ち上げます。息を吸って戻します。

  3. オーバーヘッド・プルーンリフト:うつ伏せで腕を頭上に伸ばし、手のひらを向かい合わせにします。息を吸って準備し、息を吐きながら両腕を持ち上げ、息を吸って降ろします。

手術後12週間の理学療法

術後最初の12週間は、毎日規定のエクササイズを実施し、肩関節をフルレンジで動かすことが瘢痕形成や硬直を防ぐ唯一の方法です。エクササイズを行わない時は、スリングで腕を安定させてください。

受動的エクササイズと能動的エクササイズ

理学療法では、受動的(パッシブ)エクササイズと能動的(アクティブ)エクササイズの2種類を組み合わせます。受動的エクササイズは、セラピストが患者の腕を動かして関節可動域を確保するもので、術後早期に実施されます。能動的エクササイズは、患者自身が筋力を使って腕を動かす練習です。

理学療法と手術の選択

米国整形外科医会は、術後の活動レベルが選択のポイントとしています。上半身を頻繁に使うプロアスリートなどは手術が推奨されますが、手術を選択しない場合は、投げる動作や高所へのリーチなど、肩に負担がかかる動作を慎重に行う必要があります。

なお、回旋腱板断裂には遺伝的素因が関与する可能性が報告されています(2009年 Journal of Joint and Bone Surgery)。遺伝的リスクが高い方は、予防的に理学療法エクササイズを継続することが推奨されます。

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