医療保険携帯性と説明責任に関する法律(HIPAA)
概要
医療保険携帯性と説明責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act、通称HIPAA)は、医療情報の電子的なやり取りにおける患者のプライバシー保護を目的とした米国連邦法です。医療提供者、雇用主、保険会社は、情報の機密性を維持するためのガイドラインに従う必要があります。法の主な目的は、詐欺や無駄遣いの防止、保険の継続性と携帯性の向上、医療情報へのアクセスと管理の簡素化です。
歴史
1996年に米国議会がHIPAAを制定しました。当時の内部収益法(Internal Revenue Code)を改正し、同様の課題に対処するための枠組みを提供しました。HIPAAは以下の2つのタイトルに分かれます。
- タイトル I:医療へのアクセスと保険の携帯性・更新に関する規定。
- タイトル II:不正利用や詐欺の防止、行政手続きの簡素化、医療責任の改革に関する規定。
プライバシー規則は2000年12月に施行され、2002年8月に一部改訂されました。
適用範囲
HIPAAは、以下の組織に対して適用されます。
- 健康保険プラン(医療・歯科・視覚・処方保険を含む)
- クリアリングハウス(医療情報の中継機関)
- 電子的に患者情報をやり取りするすべての医療提供者
保護対象となる情報は、患者を特定できる情報、現在・過去・将来の健康状態に関する情報、支払情報などです。また、医療関連サービスの支払いを処理する金融機関(支払方法を問わず)も対象となります。従業員数が50人未満の企業が提供する保険プランは例外です。
対象取引
以下の取引情報はHIPAAにより保護されます。
- 保険適格性、加入・脱退情報
- 給付請求および添付書類
- 保険料・支払に関する送金情報
- 初期傷害報告、請求ステータス、紹介承認
電子取引だけでなく、紙の記録についても安全な場所に保管し、必要な職員以外のアクセスを制限することが求められます。
違反時の罰則
HIPAA違反には厳しい罰則が設けられています(2011年2月時点)。
- 単純違反:1件あたり最大$100、年間上限$25,000
- 故意に情報を取得・使用・開示した場合:最大$50,000の罰金、1年の懲役、またはその両方
- 虚偽の前提での違反:最大$100,000の罰金、最長5年の懲役、またはその両方
- 金銭的利益や悪意ある目的での違反:最大$250,000の罰金、最長10年の懲役、またはその両方
許可された情報開示
患者の同意があれば情報は開示可能です。また、法的義務がある場合にも開示が認められます。例として、医師が家庭内暴力・虐待・ネグレクトを報告する義務や、病院が患者の犯罪行為を報告する必要があるケースがあります。さらに、患者が公共の安全や個人に重大な脅威を与える恐れがあると合理的に判断した場合、警察や脅威の対象者に情報を提供することが許可されています。
