民間健康保険の歴史と発展
民間健康保険の起源
民間の健康保険は人類史のはるか昔に遡ります。メソポタミアのハンムラビ法典では、医師の責任が賠償金で評価されていました。中世ではギルドが会員の医療費を負担するための基金を徴収し、20世紀まで地域共同体が医療費を支えるのが一般的でした。
個人病基金(Sickness Funds)
米国南北戦争期に、蒸気船や鉄道の事故に備える「事故保険」が販売されました。これらは「病基金」と呼ばれ、労働不能時の小額給付を目的としたもので、当時は医療技術が未熟だったため、現代的な健康保険の必要性は低かったと言えます。
ブルークロスとブルーシールドの誕生
大恐慌下で医療費が急騰する中、ダラスの教師団体が病院と固定料金で治療契約を結んだことが成功例となり、病院側は「ブルークロス」プランを、医師側は対抗する「ブルーシールド」プランを設立しました。
メディケアとメディケイド
ブルークロス・ブルーシールドの普及により民間保険産業は急成長し、政府主導のユニバーサル保険導入を阻止しました。1965年に成立したメディケア(高齢者向け)とメディケイド(低所得者向け)は限定的な補償に留まり、民間保険の市場シェアは依然として支配的でした。
近代の展開
クリントン政権やオバマ政権のユニバーサル保険構想が実現しなかった結果、民間健康保険は直接保険や予防重視のHMO(健康維持組織)として米国で主流となっています。一方で医療費高騰に伴い政府の関与は拡大し、2010年成立の医療改革法は既往症を持つ被保険者への差別を禁止しました。医療費が上昇し続ける限り、政府介入はさらに進むと予想されます。
