子供の不安障害
思春期や成人に比べて子どもではやや少ないものの、子どもでも不安障害に悩むケースは少なくありません。米国国立精神衛生研究所の推計では、米国の子どもの約3%が何らかの不安障害を抱えているとされています。重度の不安障害は子ども本人だけでなく、保護者にとっても対処が難しい問題です。さらに、罹患した子どもの約85%が成人期以降も不安障害や他の精神疾患を経験すると報告されています。
全般性不安障害 (GAD)
全般性不安障害は、慢性的な心配が特徴です。子どもは過去・現在・未来のさまざまな出来事について絶えず不安を抱きます。学校生活、家族関係、友人関係、スポーツ、病気などが主な心配事です。診断には、少なくとも6か月以上にわたり、ほとんどの日で不安症状が続き、日常生活に支障をきたしていることが必要です。この障害はしばしばパニック発作を伴います。
パニック障害
パニック障害は、繰り返し起こるパニック発作が中心です。発作時には息苦しさ、喉の締め付け感、飲み込みにくさ、めまい、胸痛などが現れます。子どもの場合、突然発作が起こることもあれば、特に不安が高まる状況で発作が誘発されることもあります。発作を引き起こす場所や状況を避けるようになり、孤立や日常生活の乱れが生じやすくなります。
社会不安障害
社会不安障害は、恥をかくことや他者からの嘲笑への過度な恐怖が特徴です。子どもは人前に出ると常に自分が不十分だと感じ、他の子どもに嫌われているのではないか、陰で自分のことを話されているのではないかと不安に苛まれます。その結果、内向的・引っ込み思案になることが多く、クラブ活動や誕生日パーティーなどの集まりが大きなストレス源となり、時にパニック発作を引き起こすこともあります。
薬物療法
薬物療法は不安障害の治療の一つです。米国食品医薬品局(FDA)で子どもの不安治療に承認されている代表的な薬は、抗うつ薬のフルオキセチン(商品名:プロザック)と、急性のパニック発作に用いられるベンゾジアゼピン系のジアゼパム(商品名:バリウム)です。その他、セルトラリン(商品名:ゾロフト)なども精神科医が処方することがありますが、子どもの不安障害に対するFDA承認はありません。薬は副作用のリスクがあり、長期的に脳に影響を及ぼす可能性が指摘されるため、薬だけに頼らず心理療法と併用することが推奨されます。
認知行動療法 (CBT)
認知行動療法は、現在の不安障害治療におけるゴールドスタンダードです。さまざまなテクニックを組み合わせ、恐怖対象への曝露(エクスポージャー)を通じて恐怖感を減衰させます。また、子ども自身が思考パターンに気づき、否定的・不安的な考えをポジティブで建設的なものに置き換える訓練を行います。繰り返し練習することで新しい思考回路が脳に定着し、長期的な不安軽減が期待できます。
