パスチャライズ(低温殺菌)と照射処理の意味と違い
パスチャライズ(低温殺菌)
フランスの科学者ルイ・パスツールが1864年にワインの腐敗を防ぐために開発した方法で、熱処理により酵母や有害な細菌を死滅させ、食品の保存性と安全性を高めます。1900年代初頭、米国の酪農業者は乳製品に同様の手法を導入し、致死性細菌を除去し、保存期間を延長しました。現在では多くの食品で採用されています。
照射処理(コールドパスチャライズ)
ガンマ線や電子ビームなどの放射線を用いて微生物のDNAを損傷させ、増殖できなくします。大腸菌、サルモネラ、リステリアなどの有害菌や腐敗を引き起こす寄生虫を死滅させ、果物や野菜の過熟や発芽を抑制し、賞味期限を延長します。放射能を付与するわけではありませんが、一部の食品では風味や品質に影響があります。
パスチャライズと生乳(ロウミルク)の比較
パスチャライズは食の安全性向上に大きく貢献していますが、オーガニックや健康志向の一部では栄養素や風味が損なわれると批判されています。そのため、生乳を好む消費者も多く、米国の一部州では生乳の販売が禁止されていますが、ペットフードとしての販売などで回避されています。
照射処理への懸念
照射処理は1960年代から穀物などに利用され、近年は他の食品にも拡大していますが、ビタミンや酵素の破壊、未知の化学物質の生成など健康への影響が指摘されています。農場の衛生管理や加工工程の徹底で食中毒リスクを低減できるとの意見もあります。
実績と安全性
米国食品医薬品局(FDA)と疾病予防管理センター(CDC)は、パスチャライズも照射処理も有効な病原体除去法であり、安全性が確認されているとしています。CDCは生乳の摂取が健康被害を招くことを警告しており、1993年から2006年にかけて生乳が原因の感染は69件、1,505人の罹患者、185人の入院、2人の死亡をもたらしたと報告しています。
