シーダーオイル(杉油)の毒性について
人間への毒性
米国環境保護庁(EPA)は、シーダーオイルはごく微量しか人体に接触しないため概ね安全と評価しています。しかし、甘い香りが子どもの興味を引き、誤って飲み込むケースがあります。大量摂取すると過敏性、呼吸器・消化器症状、視覚障害、眼・耳・喉の痛み、さらには痙攣や昏睡に至ることがあります。メリーランド大学医学センターによれば、症状が現れた場合は飲み込みやすい水や牛乳を与え、すぐに毒物管理センター(800‑222‑1222)へ連絡することが推奨されています。
ツジョン(Thujone)
シーダーオイルの有毒性は、主にツジョンと呼ばれる成分に起因すると考えられています。ツジョンは、かつてのアルコール飲料アブサンの精神活性成分としても知られ、ウィード(苦艾)に約40%含まれます。シーダーオイル中のツジョン濃度は産地により0〜61%で、テキサス産は約60%に達します。現在はハーブ療法で心をクリアにする目的で用いられることもあります。
害虫駆除への利用
シーダーオイルは蚤(ノミ)や蚊などの害虫を殺すわけではなく、独特の香りがフェロモンパターンを乱し、不快感を与えることで忌避させます。昆虫のオクタパミン受容体に作用すると報告されています。希釈すれば犬のノミ対策や人間の蚊除けに使用でき、ラベンダー、レモングラス、シトロネラ油と組み合わせると効果が高まります(ベースはアーモンドオイルなど刺激の少ないものを推奨)。
寄生虫対策への利用
ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院の2005年の研究では、シーダーオイルが血吸虫(Schistosoma mansoni)の幼虫を死滅させ、プール表面に散布すると感染能が99.2%低減したことが示されています。
今後の研究課題
EPAや米国国立衛生研究所(NIH)はシーダーオイルが直ちに危険な物質とは位置付けていませんが、毒性プロファイルは完全には解明されていません。特に中枢神経への影響や妊娠中の安全性など、詳細な毒性評価が求められています。
