うつ病で入院が必要になるタイミング
重度・慢性的なうつ病で日常生活や仕事がままならない場合は、早急に専門家の助けを求めましょう。友人や家族が同様の状態で心配なときは、以下の症状や対処法を参考にしてください。あなたはひとりではありません。適切な支援が待っています。
症状
うつ病はがんや糖尿病と同様に、医療的な介入が必要な病気です。次の項目のうち3つ以上が当てはまる場合は、入院を含めた治療を医師に相談してください。
- 止まらない涙や深い悲しみが続く
- 食欲や睡眠パターンが変化した
- 常に不安・心配・怒りを感じる
- 何事にも興味が持てず、無関心になる
- エネルギーが枯渇し、やる気が出ない
- 自分は価値がない、罪悪感が拭えない
- 集中できず、意思決定ができない
- 以前楽しんでいたことが全く楽しくない
- 友人との交流を避けたくなる
- 原因不明の体の痛みや不調を訴える
- 朝起きることが極端に困難になる
- 死や自殺を考えることが増える
症状は軽度でも重度でも、特に「死や自殺」を考える場合はすぐに助けを求めてください。うつ病は一人で背負うものではありません。専門的なサポートが利用可能です。
単極性うつ病(うつ病)
単極性うつ病は、セロトニン、ノルエピネフリン、ドーパミンの再取り込みに関わる脳内化学物質のバランスが崩れることで起こります。家族に同様の病歴があることや、アルコール・薬物依存の既往があることがリスク要因です。患者は「もっと頑張れば治る」と自己判断で薬物に頼ることがありますが、根本的な改善には医療的介入が必要です。双極性うつ病とは異なり、気分の高揚期と低下期が交互に現れるため、治療方針も異なります。
入院の検討
日常生活がままならず、仕事に行くことやベッドから起き上がることすら困難な場合、精神科病棟への入院は大きな救いとなります。これは怠惰や価値の欠如を示すものではなく、重度のうつ状態の証です。医師の紹介が必要ですが、まずはかかりつけ医や緊急相談窓口に電話すれば迅速に治療が受けられます。自殺を考えている場合は、自己傷害を防ぐためにすぐに自殺防止ホットラインへ連絡してください。入院施設は温かく安全な環境で、看護師が最初の数日間は自殺予防監視を行い、以降は主治医の治療が続きます。
家族や友人が介入する場合
重度のうつ病患者を支える際、本人の同意のもと精神科病院へ自発的に入院させることが最善です。米国や英国では、本人が自ら危険を及ぼす恐れがある場合を除き、強制入院はできません。強制入院には医師の診断書と裁判所の審理が必要で、警察が緊急逮捕・入院させるケースは「直ちに自己・他者に危害を加える恐れ」がある場合に限られます。英国の統計では、強制入院した中年患者の自殺率が高いことが示されています。危険が差し迫っていると感じたら、すぐに自殺防止ホットラインか警察に連絡してください。
入院中の治療法
入院後、医師は抗うつ薬の処方や既存薬の見直しを行い、用量増加や別の薬剤への切り替えを提案します。主な抗うつ薬は以下の3タイプです。
- ノルエピネフリン・ドーパミン再取り込み阻害薬(NDRI)
- 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
- セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)
効果が現れる薬剤は個人差が大きく、2〜3種類の試行が必要なこともあります。副作用(性欲減退、体重減少など)よりもうつの重圧が軽減すれば患者は受け入れやすい傾向にあります。
最も重症の場合、抗うつ薬の組み合わせでも効果が得られないときは、医師が電気痙攣療法(ECT)を提案することがあります。これは最終手段とされ、外来でも実施可能ですが、通常は入院期間中に行われます。ECTは記憶障害や一時的な混乱といった副作用が報告されており、慎重な判断が求められます。
