医療目的の特別ダイエット
2008年、米国では処方薬に2,341億ドルが費やされたとカイザー・ファミリー財団が報告しています。近年、薬は食事に代わって病気治療の主な手段となりつつありますが、食事は5,000年以上前から薬として利用されてきました。現在、医療従事者は食事の治癒力を認識し、さまざまな健康問題に対応するための特別な医療ダイエットを推奨しています。
DASH(ダッシュ)ダイエット
高血圧予防を目的とした「Dietary Approaches to Stop Hypertension(DASH)ダイエット」は、国立心臓・肺・血液研究所(NHLBI)の研究結果に基づき、塩分摂取を減らし、果物・野菜・魚・鶏肉・ナッツ・全粒穀物・低脂肪または無脂肪乳製品を中心に摂取することを勧めています。コレステロール、飽和脂肪酸・トランス脂肪酸、甘味料、追加糖、赤肉の摂取も制限します。カルシウム、マグネシウム、カリウムなど血圧を下げる栄養素が豊富です。NHLBIによると、2週間以内に血圧が低下することが期待できます。
糖尿病食(Medical Nutrition Therapy)
血糖コントロールを目的とした医療栄養療法(MNT)は、1日を通して規則的に適量の栄養バランスの取れた食事を摂ることが基本です。食物繊維が豊富な果物・野菜・全粒穀物・豆類・ナッツを中心に、サーモンやサバ、サンマなどの青魚を週2回以上取り入れ、脂肪の多い肉は控えます。飽和脂肪酸は総エネルギーの7%以下、ナトリウムは1日2,000 mg未満に抑えることが推奨されます。また、食事交換法を用いて、血糖値への影響が似ている食品同士を置き換える指導も行われます。詳しいプランは管理栄養士に相談してください。
極低カロリーダイエット(Very Low‑Calorie Diet)
医師の監督下で行う極低カロリーダイエットは、肥満成人の迅速な体重減少を目的とします。市販の液体シェイクやバーなどの完全栄養食で食事を代替し、1日800kcal以下に抑えます。ビタミンやミネラルは必要量が確保されており、栄養不足を防ぎます。場合によっては、鶏肉や魚などの赤身タンパク質のみで構成するプログラムが選択されることもあります。開始前に医師の診察を受け、治療期間中は継続的に管理を受けることが必須です。
クローン病増悪期の食事
クローン病は消化管全域に炎症が起こり、下痢や脂肪吸収不良、瘻孔(ろうこう)などの症状を伴います。増悪期には低残渣(低繊維)食が有効で、下痢や腹痛を軽減します。ナッツ、種子、豆類は狭窄や瘢痕化のリスクがあるため避けます。脂肪摂取を制限すれば脂肪吸収不良が改善し、乳製品を控えることで膨満感・痙攣・ガスなどの症状が和らぎます。また、カフェイン飲料も制限対象です。
