抗うつ薬と記憶障害

うつ病では記憶障害がよく見られ、抗うつ薬は気分を改善する一方で記憶機能に影響を与えることがあります。この悪循環は、記憶改善薬や気分安定薬だけでは解決が難しいとされています。定期的な脳と身体の運動、バランスの取れた食事、栄養補助剤は、認知症やアルツハイマー病以外の記憶障害の回復と維持に役立ちます。抗うつ作用と記憶改善効果を併せ持つ新薬が承認待ちです。

記憶、気分、薬物

記憶障害はうつ病などの気分障害と、これらを治療する薬(抗うつ薬など)とに関連しています。ストレス、双極性障害(躁うつ病)、PTSD、また不安障害も記憶や認知機能に影響を与えます。

うつ病は長期記憶を障害し、不安が加わると短期記憶も低下します。コルチゾールなどのストレスホルモンは記憶機能を損なうことが知られています。抗不安薬のベンゾジアゼピン系(例:ロラゼパム)も記憶に影響します。

双極性障害の治療に用いられるリチウムは、記憶だけでなく集中力や認知機能を低下させることがあります。多くの抗うつ薬、睡眠薬、抗不安薬も脳全体の機能、特に記憶に影響を与える可能性があります。

加齢と記憶

高齢者は認知症やアルツハイマー病とは別に記憶障害を経験することがあります。配偶者や親しい人の死、退職による生活変化は不安や混乱、物忘れを引き起こし、うつ症状を悪化させます。これらはカウンセリングや抗うつ薬などの医療介入で改善可能です。

一方、認知症は記憶、人格、行動に変化をもたらす不可逆的な脳疾患です。繰り返し同じ質問をする、指示が理解できない、慣れた場所で迷う、時間・場所・人物の認識が曖昧になる、身だしなみや栄養を疎かにするといった症状が見られます。

アルツハイマー病は脳細胞の大量死を引き起こし、軽度の忘れから重度の思考・機能障害まで進行し、最終的には全面的な介護が必要になります。

記憶力向上の方法

気分障害や服用薬が記憶問題の原因と考えられる場合、次のような対策で記憶力を高められます。カレンダーや電子スケジュールに書き留め、パスワードや口座番号は安全な場所に保管しましょう。

鍵やサングラス、携帯電話は玄関近くのバスケットにまとめて置くなど、生活をシンプルにし不要な活動を削減します。

毎日脳を鍛えるために、興味深い会話、クロスワードや数独、講座受講、30分以上の有酸素運動、ヨガやリラクゼーションを取り入れましょう。ストレスを減らすことも記憶改善につながります。

食事の改善

米国国立衛生研究所(NIH)は、ギンコウ葉が健康な人の記憶力を向上させる可能性があると報告していますが、出血リスクがあるため医師に相談してください。果物や野菜に含まれる抗酸化物質は脳細胞を保護します。

カルシウムは新しい学習と情報の保存を助け、葉酸は脳への酸素供給を改善します。マグネシウム、ビタミンB3・B6・B12、必須脂肪酸も記憶に有益です。朝食を摂ることは認知機能と記憶力の向上に効果的です。

期待できる新薬

記憶増強剤と抗うつ薬を組み合わせた新薬が近く市場に登場する見込みです。特許出願文書によれば、うつは記憶障害を悪化させますが、従来の抗うつ薬は記憶を改善せず、記憶増強薬はうつ症状に効果がありません。

これは多くの神経化学系が相互に絡み合っているため、うつや記憶喪失が同時に存在すると、単一の治療では対応できない別の系統が機能不全に陥ることが原因です。発明者は、記憶と気分の両方を同時に変化させる代替的な脳内経路を特定したと主張しています。

このアプローチは、記憶障害と気分障害を同時に効果的に治療できる可能性を秘めています。

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