胃内細菌の種類と役割

概要

人間の体内には500〜1,000種もの細菌が常在し、これらは「ヒトフローラ」と呼ばれます。ほとんどは体の機能に不可欠で、酸素を必要とせず温かく湿った環境を好みます。皮膚、口腔、腸、胃などが主な棲息場所です。

胃内細菌の特徴

胃は食物を分解するために強酸性の環境を保ちます。塩酸やペプチダーゼが主な働きをし、胃粘膜は粘液で保護されています。このような過酷な環境でも生き残る細菌は、胃に適応したものか、何らかの防御機構を持っています。細菌は食物や水、皮膚、空気、消化管から胃へ侵入します。

有害な細菌とリスク

代表的な病原性細菌はヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)です。螺旋状の形態を持ち、40歳未満では約20%、60歳以上では50%の人に存在します。粘液層を突破し胃酸から身を守り、ウレアーゼを産生して酸性を弱めます。胃炎、潰瘍、胃がんのリスクを高めますが、感染しても必ず症状が出るわけではなく、個人の健康状態や菌株によって異なります。その他、サルモネラ、シゲラ、病原性大腸菌なども胃腸障害を引き起こします。

有益な細菌の働き

有益菌はビタミンやミネラルの合成、複雑な炭水化物の発酵分解を助け、病原菌の増殖を抑制します。pH調整や免疫刺激も行います。代表的な菌種はラクトバチルス、ビフィズス菌、ベロネラなどです。プロバイオティクスはこれら有益菌を含むサプリや発酵食品で、乳糖不耐症や下痢、胃腸感染症の予防・改善に利用されます。

予防と対策

胸焼け、消化不良、嘔吐、腹部膨満、下痢などは有害菌の増殖や有益菌の不足が原因です。胸焼けや消化不良にはヨーグルトやプロバイオティクスの摂取が有効です。嘔吐や下痢は感染が疑われ、症状の重さに応じて抗生物質が処方されます。症状が長引く場合は医師の診断を受けましょう。

消化器の健康 - 関連記事