マンガンの副作用と健康への影響
マンガンは骨の形成、タンパク質代謝、エネルギー産生などに関与する必須ミネラルです。体内に約15〜20 mgが存在し、その約半分は骨に、残りは腎臓、肝臓、膵臓、副腎、下垂体に蓄えられています。食事やサプリからの摂取は通常毒性を示しませんが、鉱山や電池製造、溶接作業での吸入は肺障害を引き起こすことがあります。
必要摂取量(AI と TUL)
| 対象 | 適正摂取量(AI) | 許容上限(TUL) |
|---|---|---|
| 乳児 0‑6か月 | 3 µg | サプリ禁止 |
| 乳児 7‑12か月 | 600 µg | サプリ禁止 |
| 幼児 1‑3歳 | 1.2 mg | 2 mg |
| 幼児 4‑8歳 | 1.5 mg | 3 mg |
| 男子 9‑13歳 | 1.9 mg | 6 mg |
| 男子 14‑18歳 | 2.2 mg | 6 mg |
| 男子 19歳以上 | 2.3 mg | 11 mg |
| 女子 9‑18歳 | 1.6 mg | 6 mg |
| 女子 19歳以上(非妊娠・非授乳) | 1.8 mg | 11 mg |
| 女子 19歳以上(妊娠・授乳) | 2.0 mg | 9 mg |
マンガンの体内での役割
マンガンはビタミンB群、コリン、ビタミンCの代謝に必要な酵素を活性化します。また、骨形成に関わる酵素や、グルコース代謝、尿素合成にも関与しています。抗酸化作用により細胞膜や神経鞘を保護し、甲状腺ホルモン(サイロキシン)の合成にも関与すると考えられています。
不足時の症状
重度のマンガン欠乏は子供で痙攣、失明、麻痺を引き起こすことがあります。成人では聞こえない音が聞こえる、めまい、倦怠感、体重減少、不整脈、耐糖能低下などが報告されています。動物実験では不妊、骨成長の抑制、脳機能低下、痙攣閾値の低下が観察されていますが、ヒトへの直接的な影響は明確ではありません。
過剰摂取(中毒)の症状
食品からの摂取で中毒になることは稀ですが、鉱山やバッテリー製造現場でのマンガン粉塵吸入は中毒症状を引き起こします。症状は筋力低下、食欲不振、躁状態、不眠、妄想・幻覚、パーキンソン様の筋硬直や振戦です。治療は曝露中止とL‑ドーパ(ドーパミン前駆体)投与が主です。
飲料水中のマンガン濃度が 2 mg/L を超える場合も、吸入と同様の中毒症状が報告されています。
主な食物供給源
全粒穀物、ナッツ、豆類、種子、アルファルファ、ほうれん草などの葉物野菜に豊富に含まれます。特に赤ラズベリーの葉は 100 g 当たり 14.6 mg と、他のハーブ類の約2倍の高濃度で、マンガン摂取の優れた源とされています。
