ブレスアルコール測定器の精度はどの程度か?
歴史
1927年、エミル・ボーゲンという科学者が、逮捕された被験者に肺からの空気でサッカーボールを膨らませさせ、その内部の空気中のアルコールを測定する実験を行いました。その結果、ボール内の約2リットルの空気中に約1.5ccのアルコールが含まれていることが分かりました。最初の道路側BAC測定キットは1938年に登場し、「ドランコメーター」と呼ばれる大型装置で、被験者が風船に息を吹き込み、その空気を色が変わる溶液に通す方式でした。現在のブレスアルコール測定器は1954年にロバート・ボルケンスタイン博士が発明し、化学酸化・光度測定から赤外線方式へと進化しましたが、携帯性と即時結果が法執行機関の標準となっています。
考慮すべき点
ブレステストの誤差要因は多数あります。飲酒直後に測定すると、アルコールが完全に吸収されていない可能性があります。吸収には45分から2時間以上かかり、その間は血中アルコール濃度(BAC)が部位によって大きく異なります。例えば、動脈血のBACは静脈血の約60%高くなることがあります。その他、装置の校正不良、被検者のヘマトクリット値の推定ミス、口腔内のアルコール残留、呼吸パターン、検査員の操作ミス、血中の干渉物質(糖尿病患者の酢酸など)も結果に影響します。
誤解
一部の人は、口腔内に特定の物質を入れるとブレスアルコール測定器の数値が低くなると考えています。ディスカバリーチャンネルの「MythBusters」では、マウスウォッシュ、ブレスミント、玉ねぎ、義歯固定剤、硬貨、電池などが試されましたが、どれも測定値を有意に下げることは確認されませんでした。
注意点
逆に、測定値を高く出す物質もあります。アルコール含有のマウスウォッシュは30%近いアルコール濃度を持ち、使用直後に測定すると、ブレスアルコール測定器はそのアルコールを血中に取り込まれたものとみなします。その結果、致死的なBACが示されることがありますが、実際には飲酒していません。口腔内のアルコールは約5分で蒸発します。ブレススプレーでも同様の高側誤差が報告されています。
法的・将来の展望
ブレスアルコール測定器の精度に疑問が呈されたことから、カリフォルニア州は2009年に被告が測定結果に異議を唱える権利を認めました。これは、個人差や環境要因(大気条件など)により、測定値の小数点以下の精度が科学的に保証できないという判断に基づきます。アリゾナ州やバーモント州でも同様の判決が出ており、他州でも訴訟が増えています。検察側は、この動きが酔っ払い運転の有罪判決に影響を及ぼすことを懸念しています。
