体重減少に対するHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の効果と注意点

HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は、胎盤で産生され妊婦の尿中に多く含まれるホルモンです。妊娠中の胎児発育や他のホルモン調節に関与しますが、近年は体重減少目的で注射が用いられることがあります。

歴史

HCG注射を肥満治療に使用した最初の人物は、イギリスの医師A.T.W.シメオンです。シメオンは1954年に、HCG投与後の患者が低カロリー食でも頭痛や空腹感、倦怠感、イライラといった典型的な症状を示さなかったと報告しました。

作用機序

シメオンは妊娠中の肥満女性が食事カロリーを減らしても飢餓感やイライラが起きないことに注目し、妊娠時に上昇するHCGが「視床下部の貯蔵能力」を無制限にし、固定的なエネルギー蓄積が形成されにくくなると仮定しました。そのため、HCG注射が食欲抑制に役立つと考えられました。

検証結果と考慮点

しかし、1990年に南アフリカのステレンボッシュ大学医学部が実施した臨床試験では、HCG注射を受けた群とプラセボ群の体重減少に有意差は認められませんでした。メイヨークリニックがまとめた多数の研究でも、HCGの減量効果は「期待できない」結果が示されています。

健康リスク

HCGは卵巣を刺激し、エストロゲンやプロゲステロンの変動を引き起こします。その結果、卵巣嚢胞の形成やホルモンバランスの乱れといった副作用が報告されています。無闇にHCGを投与することは健康に害を及ぼす可能性があります。

専門家の見解

上記のリスクと効果の不確かさから、体重減少は従来の方法、すなわちバランスの取れた食事と定期的な運動が最も確実です。メイヨークリニックは「食生活と日常習慣を正直に見直す」ことを推奨しています。

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