ポジティブ適応とは何か?
基本理論
Jean Ann Summers、Shirley Behr、Ann Turnbull の研究「障害を持つ子どもを持つ家族のポジティブ適応と対処力」では、ポジティブ適応は「問題を修正する」ことではなく、否定的な状況に適応するプロセスと定義されています。ポジティブ適応を用いることで、個人や家族は感情的にストレスのかかる出来事に対し、資源を動員し、状況のプラス面に焦点を当てます。初めての課題に直面したとき、その解決は「触媒」となり、生活の他の側面も向上させます。Hamilton McCubbin と Joan Patterson の著書『Social Stress and the Family』では、この上向きの心理的スパイラルを「良適応(bonadaptation)」と呼び、危機による機能不全である「不適応(maladaptation)」と対比しています。
ストレス理論
ポジティブ適応の重要な土台となるストレス理論は、望ましくない出来事からも肯定的な効果を得られると示します。1949 年に出版された Reuben Hill 教授の『Families Under Stress』では、ABCX モデルが提示されました。A はストレス要因、B は個人や家族の資源、C は出来事の重要性に対する認知、X は反応です。このモデルは「ストレスは場合によっては生産的であり、ストレスを受けた者は安定状態や回復に向けて適応しなければならない」ことを示しています。
実践方法
Summers・Behr・Turnbull は、ポジティブ適応の第一段階を「因果帰属」と呼び、問題の原因を特定することでコントロール感と自己肯定感を高め、意味付けを行います。第二段階は「熟達(mastery)」で、状況を十分に掌握し再発を防止します。第三段階は自己評価の向上で、否定的な状況の中に潜むポジティブな側面や利益に選択的に注目し、他者と比較して公平かつ前向きな自己評価を保ちます。
対象となる状況
ポジティブ適応は、身体的・感情的・精神的なストレスや損害をもたらすあらゆる状況に適用できます。具体例としては、愛する人の死、老化、重度の身体障害、別居・離別、暴力、障害を持つ子どもの育成、離婚、虐待、失業、自然災害などが挙げられます。
効果・メリット
ポジティブ適応は、レジリエンス、寛容性、感情理解、資源活用力、強さ、そして職業的・個人的成長を促進します。人生の意味を再考させ、予防策への資源配分を促し、ストレス下での有能さを育み、自己概念を向上させ、信頼と励ましの土台を築きます。また、自己依存性が高まり、将来の危機に対する適応システムが形成されます。レジリエンスは静的ではなく、特定の悲劇や脅威に応じて変化・進化する動的プロセスです。L. Wikler、M. Waslow、E. Hatfield が 1983 年に Social Work Magazine に掲載した実証研究では、障害児の親の 75%が「従来とは違う育児経験が自分をより強くした」と回答しています。
