牛成長ホルモン(rBGH)の副作用とは?
はじめに
冷蔵庫の牛乳のラベルに「rBGH」や「rBST」の表記があることをご存じでしょうか。例えば、Walmartの「Great Value」牛乳には次のような文言が記載されています。「当社の農家は人工成長ホルモンを使用しないことを誓約しています。FDAによると、rBST処理牛と非処理牛のミルクに有意差は認められていません。」この曖昧な表記は、rBGHの使用を推進する側と、牛や消費者への影響を懸念する側との対立の産物です。
牛成長ホルモン(rBGH)とは
牛の下垂体に自然に存在する成長ホルモンです。代謝を維持し、細胞増殖を促進します。科学者はこのホルモンの遺伝子を大腸菌(E. coli)に導入し、組み換えホルモン(リコンビナント)を作製しました。rBGHを投与された牛は、ミルク産量が約8.5〜17.6%増加するとされています。
牛への副作用
- 米国でrBGH(商品名Posilac)を販売していたモンサントのデータによれば、ホルモン投与牛の乳房炎(マスティティス)の発生率が79%上昇しています。
- 消化器障害(消化不良、膨満、下痢)や、蹄や膝、足部の腫れ・損傷、角質化が増えることも報告されています。
消費者への影響は?
自然に含まれる牛成長ホルモンは安全とされていますが、rBGHによってホルモン量が増加した場合の影響はまだ仮説の段階です。乳房炎が起きると細菌が乳に混入しやすくなるため、抗生物質治療が必要となり、抗生物質残留や抗菌性の細菌がミルクに残る可能性が指摘されています。また、rBGHはインスリン様成長因子‑1(IGF‑1)の分泌を促し、細胞増殖を助長しますが、これが癌リスクを高めるかどうかは科学的に証明されていません。
歴史的背景
rBGHは1993年に米国で承認されましたが、導入直後から激しい論争が起きました。主な製造元はモンサントで、消費者団体のボイコットや抗議活動が相次ぎました。2004年にモンサントはPosilacの生産量を半減させ、2008年にエリ・リリー社へ販売しました。エリ・リリーは乳房炎治療薬の大手メーカーでもあります。
現在の状況
近年、rBGHの使用は縮小しています。Kroger、Safeway、Walmart など多くの大手スーパーマーケットはrBGH使用牛のミルクを取り扱っていません。2008年にはスターバックスがrBGH使用製品を禁止しました。カナダ、EU、日本、オーストラリアでもrBGHは使用が禁止されています。
