ウシ成長ホルモン(BST)の影響とは?

ウシ成長ホルモン(Bovine somatotropin、略称BST)は、乳牛の乳量を増加させる牛由来の成長ホルモンです。自然に牛の下垂体から分泌されますが、近年は遺伝子組換え技術により実験室で大量生産できるようになり、乳牛に注射することで乳産量を向上させる目的で使用されています。BSTの使用については議論もありますが、ほとんどは根拠の薄いものです。

生産

かつては死んだ牛の下垂体から僅かな量しか採取できませんでしたが、現在は牛成長ホルモンの遺伝子を大腸菌(E. coli)に導入し、培養することで大量に製造できます。

機能

BSTを血流に注入すると、乳腺への血流が増加し、乳量が大幅に上昇します。米国アイオワ州立大学バイオテクノロジー局の調査によれば、BST投与牛の1日あたりの乳産量は約2.2〜5.1kg(4.8〜11.2ポンド)増加します。その分、エネルギー需要が高まるため、飼料摂取量も10〜20%増加します。

牛への影響

過剰投与は妊娠初期の胚死亡率を上げることが報告されていますが、これは推奨量を超える場合に限ります。適正な投与では、分娩間隔の延長や乳房感染のリスク増加は認められていません。また、妊娠期間、胎児のサイズ・体重、子牛の生存率や成長には影響しません。

人への影響

商業用BSTの生物学的活性は自然のBSTと同一です。ヒトが摂取した場合、胃酸や消化酵素によりタンパク質は分解され、活性は失われます。したがって、BST投与牛のミルクは安全に飲用できます。

論争

米国食品医薬品局(FDA)はBSTを規制し、ミルクへの残留が人体に有害であるという証拠はないとしています。にもかかわらず、業界内の競争や消費者の不安から議論が続いています。実証研究は安全性を示しているものの、消費者の認識が変わりにくい状況です。

食品安全 - 関連記事