グルタミン酸の生産と利用
自然界におけるグルタミン酸
グルタミン酸は自然界では L-グルタミン酸と D-グルタミン酸の2形態で存在します。植物や動物のタンパク質に含まれるのは主に L-グルタミン酸です。タンパク質に結合せずに遊離状態で存在することもあり、これを「遊離グルタミン酸」と呼びます。一方、D-グルタミン酸は特定の細菌の細胞壁にのみ見られます。
ヒトにおけるグルタミン酸の生成
ヒトは食事から摂取したタンパク質を分解する過程で遊離グルタミン酸を得るか、あるいは他のアミノ酸(例:アルギニン)と結合した長鎖アミノ酸から転氨基反応により合成します。この転氨基反応は、食事からの遊離グルタミン酸が不足しているときに酵素触媒で進行します。
グルタミン酸はエネルギー代謝、前立腺機能、脳内の神経伝達物質など、体内で多様な役割を果たします。
商業的なグルタミン酸の製造
19世紀後半に味覚増強剤としての商業生産が始まりました。工業的に得られるグルタミン酸は主に D-形態で、微生物(例:Micrococcus glutamicus)の発酵により遊離グルタミン酸を抽出し、濾過・濃縮・結晶化してグルタミン酸塩(代表的にはMSG、モノソジウムグルタミン酸)に加工します。
代替的な製造方法
世界の大半は細菌発酵で生産されていますが、化学的合成も可能です。たとえば、グルテンや他のタンパク質原料を塩酸で加熱し、加水分解したタンパク質からグルタミン酸を抽出します。酵素発酵や、サトウビートや植物油由来の加水分解野菜タンパク質からの還元法も利用されています。
商業的に生産されたグルタミン酸の健康リスク
合成グルタミン酸(MSG)やその製造過程で生成される加水分解産物には、1-プロパノール、ジクロロプロパノール、ヘテロ環アミンなどの発がん性物質が含まれる可能性があります。また、MSGは肥満リスクの増加、網膜変性、糖尿病などの内分泌系障害と関連するという報告もあります。
