減量と視床下部の役割
視床下部とは
米国国立衛生研究所(NIH)の医学用語集によれば、視床下部は「摂食、呼吸、飲水、体温調節、そして多数のホルモン分泌を制御する脳の部位」と定義されています。体の機能維持に不可欠なため、視床下部に異常が生じると様々な健康障害が起こります。その一つが体重増加で、最悪の場合肥満へとつながります。
初期の研究
1946年、J.R. ブロベック博士は空腹感の起源に関する先駆的な実験を行いました。視床下部に損傷を与えたラットを用いた実験で、損傷部位が異なると、ある群は過食により極度の肥満に、別の群は摂食を拒否し飢死に至ることが確認されました。この結果は、視床下部が食欲の制御に中心的役割を果たすことを示しました。
近年の研究
2004年、ロックフェラー大学のジェフリー・フリードマン博士らは、脂肪細胞で産生されるホルモン「レプチン」の存在を発見し、名称を付けました。レプチンは視床下部にシグナルを送り、摂食行動を調整します。
レプチンの重要性
正常な脂肪細胞は常にレプチンを分泌します。体内にエネルギーが蓄えられるとレプチン濃度が上昇し、視床下部は「満腹」シグナルを送って空腹感を抑制します。一方、脂肪が少なくレプチン濃度が低下すると、視床下部は強い空腹感を引き起こします。
レプチン療法の可能性
フリードマン博士の研究は、肥満者を大きく二つのタイプに分類しました。
- 血中レプチン濃度は高いが、視床下部へのシグナル伝達がうまくいかない人。
- 脂肪細胞が十分なレプチンを産生できない人。
第一のタイプは、視床下部のレプチン感受性を高める治療法がまだ開発段階にあるため、支援が難しいとされています。第二のタイプは、合成レプチンを投与し、低カロリー食と併用することで体重減少が期待できる可能性があります。
