高齢者における原因不明の体重減少

体重増加や肥満は近年増加傾向にあり、国全体で問題視されていますが、高齢者にとっては、予期せぬ体重減少が深刻な健康リスクとなります。米国家族医師会の調査によれば、原因が不明な体重減少を示す高齢患者は全体の約25%にのぼり、重大な合併症や死亡リスクが高まります。

重要性

加齢に伴い、除脂肪体重が減少し基礎代謝が低下、味覚・嗅覚も鈍ります。また、ホルモンや胃の変化により満腹感が得やすく、食欲が減少します。こうした「正常な」変化にもかかわらず、原因不明の体重減少はうつ病、感染症、既存疾患の悪化、さらには死亡リスクの増加と強く関連しています。

原因

上記の加齢変化に加えて、以下の要因が体重減少を招くことがあります。

  • 経済的困窮や食料不足
  • 歯の欠損や不適合の義歯など口腔衛生の問題
  • 社会的孤立やうつ状態
  • 処方薬の副作用や薬剤相互作用
  • 疾病、障害、認知症による機能低下

多くの場合、これら複数の要因が組み合わさっています。また、がん、消化器疾患、呼吸器疾患、アルコール依存症、認知症など様々な基礎疾患の症状として体重減少が現れることもあります。

評価(識別)

体重は個人差が大きいですが、6〜12か月で体重が5%以上減少した場合は臨床的に重要とみなします。正確な体重測定が困難な場合は、衣服のサイズ変化や家族・介護者からの観察情報を活用します。

診断

原因を絞り込むためには、詳細な問診と身体診察、栄養評価、服薬状況の確認(副作用や相互作用の有無)、精神的評価を行い、必要に応じて臓器別の検査を実施します。初期評価の結果に基づき、血液検査、画像診断、内視鏡検査などの特異的検査を追加します。

治療

まずは体重減少の進行を止めることが最優先です。栄養士や管理栄養士、言語聴覚士、ソーシャルワーカーなどと連携し、十分な栄養補給を行います。原因が特定できれば、がん治療やうつ病の心理・薬物療法など、根本治療を実施します。併せて適度な運動指導や食欲増進薬の投与を行い、重度の場合は経管栄養や静脈栄養を検討します。

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