低炭水化物ダイエットとインスリン

低炭水化物ダイエットは主にカロリー摂取を減らすことと、炭水化物の摂取制限により血中インスリンの分泌を抑えることで効果を発揮します。食物が分解されてブドウ糖が血中に放出されると、体はそれに比例した量のインスリンを分泌します。インスリンは細胞がブドウ糖を取り込みエネルギーとして利用するのを助けますが、同時に脂肪分解を抑制し、血中コレステロールの生成を促進します。その結果、過剰なインスリンは体重増加や肥満を招く要因となります。

グルカゴン

血糖値が低下すると、インスリンとは逆の働きをするホルモン、グルカゴンが分泌されます。グルカゴンは脂肪や筋肉の分解酵素を活性化し、エネルギーを貯蔵する酵素(脂肪合成)を抑制します。この作用が低炭水化物食で見られる脂肪燃焼のメカニズムです。

血糖

炭水化物、特に精製された砂糖や小麦粉などの単純炭水化物は、タンパク質や脂質に比べて多くのブドウ糖を含みます。摂取量が増えるほど血糖とインスリンが上昇します。低炭水化物ダイエットはインスリンの分泌を抑え、グルカゴンの分泌を促すことで、体内のエネルギーバランスを変化させます。各ダイエットは炭水化物・脂質・タンパク質の比率を調整し、この効果を狙います。

ケトーシス

アトキンスダイエットなど極端に炭水化物を制限する食事法では、体がケトーシス状態に入ります。ケトーシスとは、食事から得られるブドウ糖が極端に少なくなることで、体が脂肪を分解してケトン体を生成し、これをエネルギー源として利用する状態です。余分なケトン体は呼気や尿中に排出されます。

科学的研究

長らくケトーシスが体重減少に与える効果は議論の的でしたが、2003年の画期的な研究「Thermodynamics and Metabolic Advantage of Weight Loss Diets」(Richard Feinman、Eugene Fine)では、ケトーシスが低炭水化物ダイエットの成功に重要な役割を果たすことが示されました。さらに、低炭水化物食は低脂肪食に比べて体脂肪の減少が大きく、総合的な体重減少も優れていると報告されています。この結果は「カロリーはカロリーである」という従来の考え方を覆し、低炭水化物食がカロリー制限以上の代謝的利点を持つことを示唆しています。GreeneらやWillettらによる12週間の比較試験でも、同様に低炭水化物(ケトジェニック)食が優れた減量効果を示しました。