エルダーベリーは有毒か?
エルダーベリーは、米国東部の川辺や低地の野原に広がる低木の実です。アメリカンエルダーとも呼ばれ、収穫期になるとスズメ科の鳥たちに大好物とされています。ヨーロッパからの移民は、植民地時代から19世紀までジャム・ゼリー・ワインの原料として広く利用していましたが、現在ではあまり知られず、むしろ「有毒」かのように敬遠されがちです。本稿では、エルダーベリーの毒性と健康効果について整理します。
考慮すべき点
- 生の黒紫色(濃青)ベリーにはシアン化物が含まれ、胃痛や嘔吐などの症状を引き起こす可能性があります。
しかし、数分間沸騰させればシアン化物は蒸気中に揮発し、残った果汁は安全に摂取できます。
※赤いエルダーベリー(Sambucus racemosa)は人に対して強い毒性があるため、調理しても使用しないでください。
歴史
- ローマ人が紀元43年にブリテン島へ侵入した際、エルダーベリーを用いた料理法(例:パティナ・オブ・エルダー)を持ち帰ったと記録があります。
北米の文献でも、エルダーベリーは「静かな毒」として武器に使われた例や、健康に良いポートワインとして賞賛された例が多数見られます。
航海者は関節炎の緩和に、毎日摂取すれば長寿になると信じ、風邪や熱に効く甘味トニックとして利用していました。
健康効果
- 欧州諸国に比べ米国での利用は遅れていますが、近年はジャムやヨーグルト、ワインなどにエルダーベリーが取り入れられています。
ベリーに含まれるアントシアニン(紫色の色素)は、ビタミンC・E以上に免疫機能を高め、心血管疾患患者への効果が期待されています。
さらに、抗ウイルス作用を狙った研究も進行中です。
種類
- Sambucus nigra(ヨーロッパエルダー): 高さ約6メートルに成長し、黒紫色の実をつけます。
Sambucus canadensis(アメリカンエルダー): やや低め(2.5~3メートル)で同様に黒紫実が特徴です。
Sambucus racemosa(赤エルダー): 赤い実をつけ、強い毒性があるため食用不可です。
ロッキー山脈以西に分布するSambucus mexicana(メキシコエルダー)も、青黒色で食用可能です。
見分け方・特徴
- 春になると、枝全体にクリーミーな白い小さな花が広がる「アンブレル」が目立ちます。
夏に実が熟すと枝が下がり、青黒い実が赤い茎を吊るすように垂れ下がります。
葉は対生(対になっている)で、交互に配置される有毒なシラカバヘムロック(Conium maculatum)と区別できます。
